前回に引き続き今回も基礎医学編を。そしてこれが基礎医学編の最後です。
扱うのは薬理学と免疫学。両方とも臨床とビシビシ関係している分野ですね。
薬理学に関してはどの診療科に行っても薬剤処方はあるので勉強必須です。免疫学に関しても、医療者であれば感染症との闘いはどの診療科でもありますし、そして分子標的薬が出てきてから、さらに深い理解が要求されるようになってきました。
日々薬剤開発が進んでいることもあり、共通の特徴としてどちらの分野も基礎医学の中では回転が早い分野になります。
医学書は基本そうなのですが、特にこの分野の教科書を買う際はできる限り最新のものを買いましょう。
薬理学
『ハーバード大学講義テキスト 臨床薬理学』
万人受けするのは間違いなく『病気がみえる』の方でしょうが、僕が天邪鬼なところがあるのと、こちらのできがいいこともあり、本書をおすすめしたい。
前版は某掲示板で大変わかりやすいと非常に有名でした。だから僕もそれを買おうと思っていたのですが、カラーではなかったことと、出版されてから結構な時間が過ぎていたため、買うのを断念していました。
そしたら、大学の薬理学の試験が終了してすぐ後に改訂版が発売されたのです。毎度このパターンですね笑 結局買いました。
内容は生理学の復習もしつつ薬理学の説明をしてくれ、さらに名前の通りどう臨床にどう活かされているかも説明してくれています。また、もはや臨床医でも逃げることができない分子生物学もきちんと織り交ぜながら説明されています。
とてもわかりやすく説明されているのですが、前半のところの翻訳がやや怪しいところがあるのは少しマイナス点ですね。内容は問題ないので、そのために購入をやめるというほどのものではないです。
薬理学はしっかりと学んでおきたい分野です。ぜひ本書を手に取ってみてください。
『薬がみえる』
お決まりのメディックメディアさんです。『病気がみえる』でお馴染みの会社ですね。僕が医学生の頃にはvol.1ぐらいしかまだ発売されていませんでした。
内容はそのまま『病気がみえる』を薬理バージョンにしたものだと思って差し支えありません。
イラストをふんだんに使って理解を助け、フルカラーで見やすいという利点は『病気がみえる』と変わりません。
欠点をあげるなら、分冊になっているため結構な量になることと、分量が多過ぎて全体像を捉えにくいってところでしょう。
ただ、全体像を把握するには大学講義のプリントを使うなり、簡単目で薄い教科書を利用すれば大丈夫です。
やはり、万人向けですね。迷うのであれば本書でいいと思います。
免疫学
『休み時間の免疫学』
『休み時間の〜』はシリーズになっていますね。その中でも一番評判がいいのが本書ではないでしょうか。
他の『休み時間の〜』シリーズは買ったことがないのでわからないのですが、本書は入門書として100点満点だと思います。費用対効果・時間対効果がめちゃくちゃ高いです。
免疫学はどうしても全体像が把握しにくい分野なのです(と個人的に思ってます)が、それをとてもわかりやすくまとめてくれています。
本書を読んでから大学で配布されるプリントや成書を勉強すると、迷子にならずにすみます。
基礎医学は全体把握用と成書の2段構えが僕の勉強スタイルなのですが、全体把握用に最適です。
ぜひこちらから勉強を開始してみてください。
『免疫生物学』
全体把握用と成書の2段構えのうちの成書に当たる方です。
『免疫 “生物学” 』となっている通り、分子生物学などの記載が丁寧です。
免疫チェックポイント阻害剤の登場など免疫学はもはや臨床でも欠かせない分野で、分子生物学も絡めた免疫学の理解は欠かせません。本書はその理解に最適だと思います。原著も有名ですね。
ただ、いきなり本書から入るのは厳しいはずです。上記『休み時間の免疫学』で全体を把握してから是非こちらで勉強してみてください。
膠原病や腫瘍を扱う分野に進みたい人は本書を手に取ってみてください。