医学生が生協などで購入でき、医師国家試験勉強に使いそうな内科学書をメインに紹介していきます。
内科は医師国家試験でも問われる問題数がかなり多いです。
医師国家試験予備校の講義ノートや大学の授業で配布されたプリントでは端的すぎて内容が足りなかったりすることがあるので、内科学書に関してはできるだけ手元に教科書を置いておくことをおすすめします。
低学年の時から同じ教科書を使用しているととても身につきやすですよ。
教科書は自分の嗜好にあったものが一番身につきますので、この記事を読んである程度目星がついたら、是非実際に書店に行って手にとってみてください。
マイナー編はこちらをご覧ください。
医学生用教科書
一応医学生用としましたが、医学生以外(医師や看護学生、MRさん etc…)も購入したりします。
医学生が最も購入するであろう内科学書です。
『病気がみえる』シリーズ
もはや説明不要ですね。泣く子も黙るメディックメディアから出版されている教科書です。
間違いなく、医学生で一番売れているシリーズです。
僕も医学生に「内科学でおすすめの教科書は?」と聞かれたら、やはり無難にこのシリーズを推薦します。
年配の先生からはその表紙から舐められてしまうのですが、実際は版を重ねるごとに分厚くなってきて、もはや今は内容がかなり詳しく、気をつけないとオーバーワークにすらなってしまいます。
内容としては、フルカラーでイラストをふんだんに利用しており、視覚的に理解を助けてくれます。
先生によっては「イラストが多い=簡単」みたいな捉え方をされてしまいますが、視覚的な情報はかなり大事です。グダグダ何行も説明されるよりも絵を1枚入れてくれた方が理解しやすいことは多々あります。
また、出版社がメディックメディアであることから、同じメディックメディア社の医師国家試験対策問題集であるクエスチョン・バンクや、医師国家試験予備校のQ-Assistとも連携がしやすいことも特徴です。
悩んでいるのであれば、間違いなくコレでいいんじゃないでしょうか。
『Simple Step』シリーズ
海馬書房という出版社から出されているシリーズです。
もはや今は『病気がみえる』シリーズ一強なので、この『Simple Step』シリーズすら「何ソレ?」状態な医学生が大半ではないかと思います。
実はこのシリーズ、僕が医学部に入学した頃(2013年)の前版である『STEP』シリーズの後継本となります。
今や内容がかなり増えた『病気がみえる』ですが、第一版あたりはまだまだ内容不足な状態でした。その時代の医学生で勉強ができる人たちはこの『STEP』を使用していました。
『STEP』の内容は『病気がみえる』と真逆で文章ばっかりな構成となっていました。ただ、文章は書き言葉ではなく話し言葉で書かれているため、意外と読みやすいものでした。
時代が進むにつれて『病気がみえる』が優勢となっていったため、『STEP』シリーズから文章量を減らしてややイラストをつけたものがこの『Simple Step』シリーズとなります。
良くも悪くもライバルに少し寄せていったために情報量が落ち、逆にライバルである『病気がみえる』シリーズは版を重ねるごとに分厚くなっており、今や情報量は『病気がみえる』の方が多いのではないかと思います。
教科書を通読したい人にとっては、『病気がみえる』が通読しにくくなった今だと選択肢にあがる、といった感じでしょうか。
いい教科書だと思うのですが、立ち位置が難しいですね。
番外編
出版されてから年数が少し経つものの改訂版が出る気配がないため番外編としています。もはや選択肢になりにくいですかね・・・。
『新病態生理できった内科学』シリーズ
『STEP』と同時代を駆け抜けたシリーズ。内容としては『STEP』より情報量を落としてイラストやや増やしたもの。
今の『Simple Step』に近いですかね。
『iMedicine』シリーズ
個人的には一番好きな内科学書で、勉強好きで詳しくやりたい人には是非進めたいシリーズ。
リブロサイエンス社(医師国家試験予備校のMAC)から出版されています。
総論を大事にしており(これが好きな理由です)、生理学・解剖学から病態生理までしっかりと学べるようになっています。
箇条書きスタイルで勉強しやすく、イラストもふんだんに入っており、視覚的にも理解を助けてくれる構成です。
文章量は結構多く、内容は『朝倉内科学』や『中山内科学』より濃いのではないかと感じるほど。
昔の『STEP』の情報量に『病気がみえる』に近い量のイラストを使用している感じの教科書ですかね。
欠点として、腎・泌尿器と感染症が販売されていないこと(おそらく今後も販売はないであろう)と、シリーズの1冊目が出版されてから改訂がなされていないことがあり、残念ながら今はやや選択肢にはなりにくいかと思います。
僕は学生時代に使用していましたが、この教科書を読んだことで一番理解が進んだと感じています。
内科を専攻した僕にとって、内容を最新情報にして薬剤などをもう少し実臨床よりにしてくれたら即買いしたいほどの教科書です。
成書内科学
いわゆる成書と言われる類の教科書です。
医学生向けの教科書が揃い、医師国家試験予備校もたくさんあるこのご時世だとかなり苦戦を強いられている教科書達ではないでしょうか。
『ハリソン内科学』
購入している人はほとんどいないですが、流石に名前は聞いたことはあるかと思います。
あくまでアメリカの教科書であるため、医師国家試験対策用の教科書としてはあまりおすすめしないです。
が、僕は6年生の時に購入したまに参照していたのですが、やっぱりものすごくいい教科書です。病態生理が詳しく書かれており、「なるほど」と唸ることが多かったです。
初めての内科学書がこれだとほとんど理解できずかなり遠回りな勉強となり、かといって医師国家試験が近づくと試験向きではないため使用し辛いなど、使用するタイミングが本当に難しいのですが、学生時代にもっと読んでおけばと思うことが多い教科書です。
研修が始まるともっと実践向けの『〜レジデントマニュアル』の方が、治療(薬)のことなどを考えると使いやすいのですが、一通り勉強して落ち着いたら再度読みたいなと思っています。
やる気があり、 “医師国家試験に余裕のある” 医学生は是非購入を検討してみてください。学ぶことは多いですよ。
『朝倉内科学』と『中山内科学』
それぞれ通称で、正式名称は『朝倉内科学』は『内科学』(出版:朝倉書店)、『中山内科学』は『内科学書』(出版:中山書店)です。
『STEP』シリーズよりさらに昔、まだまだ医学生向けの教科書がなかった時代によく読まれていた教科書達です。
年配の先生達にとって内科学書と言えばこの2冊(特に『朝倉内科学』)となります。
内容はイメージ通り “教科書” といった感じです。
僕は購入を検討していたため、『中山内科学』を図書館で借りて何度か読んでみたのですが、意外と内容が “表面をさらっと” といった感じで、『ハリソン内科学』や『iMedicine』シリーズのように読んで「なるほど」となることはほぼなかったです。
今は医学生向けの魅力ある教科書があるため、値段もすることを考えると正直おすすめはしにくいです。