これまでに医師国家試験の勉強法や予備校について書いてきました。
今回は問題集の使い方について述べたいと思います。
問題集に関しては僕自身、当時は使い方が悪く、かなり非効率になってしまったと反省しているので、同じ轍を踏まないよう是非参考にしてください。
予備校問題集とQBの併用は必要ない
医師国家試験の対策を始める際にあたって「予備校の問題集とクエスチョン・バンク(以下、QB)は両方必要か」という疑問は結構な人が持つと思います。
この話題は『医学生のおすすめ勉強スケジュール』でも少し触れました。そして、そこでも言いましたが、結論として併用は必要ないです。
理由として以下の4つがあげられると思います。
- 扱っている問題はどの問題集も医師国家試験そのもの
- 取り扱っている問題(数)や解説は若干違うが大差ない
- あくまで問題集の目的は疾患を理解すること
- ほとんどの人がそもそも問題集をやりきれない
それぞれをもう少し詳しく理由を見ていきましょう。
まず1に関して。落ち着いて考えれば当然なのですが、予備校やQBの出している問題集は出典は全部同じです。そう、医師国家試験の過去問です。各自がオリジナルの問題を作っているのであれば問題集を併用する理由にもなりますが、全くもって同じです。
みなさんが医学部を受験する時のことを考えてください。有名大学だと大学受験の過去問に赤本と青本があったかと思いますが、それを2冊ともやったりするでしょうか。時間が有り余っていたらそうする人もいたでしょうが、ほとんどの人はどちらかしかやらないでしょう。医師国家試験もそれと同じです。
2について。皆が併用したくなる理由はここでしょう。確かに取り扱っている問題(数)や解説は若干違います。が、そんなこと本ッ当に大差ないです。
たった数十問〜百数十問のためだけに併用して両方ともこなすことをしたところで、膨大な時間をかけても得るものはほんの少しです。圧倒的に非効率です。これは次の3を忘れていることから来るのではないでしょうか。
そして3。そもそも問題集は何のためにするのでしょうか。そう、疾患の理解につなげるためです。問題の数はそのための手段の一つです。
成績の良い人は同じ1問を解いても、何も考えずに解いている人よりも多くのことを学んでいます。「この疾患は病態が問われたけど、治療法が問われたら危なかったな」とか考えてます。1問で数問分学習するのです。
数ももちろん大事です。これは否定しようのない事実です。ですが、何度も言うように予備校やQBの問題数は大差ありません。まずは目の前の問題集をやり込んでください。
最後に4について。これが最大の理由でしょう。医師国家試験対策をしていくとわかると思うのですが、予備校の講義は思っている以上に多いです。そして周りを見ていると、みんな消化しきれていません。
その中で問題集を2種類もやろうとするのは、とてもじゃないですが現実的ではありません。
成績がいい人は何も特別なことをしている人ではありません。目の前にある問題集なり予備校の講義をきちんとこなしているだけです。
それでもなお併用するのならしても構いません。しかし、その場合でも目の前の問題集をやり切ってから2種類目の問題集をやるで良いんではないでしょうか。
まずは1周目問題
これは僕の最大の失敗です。
僕はQBを問題集として選択したのですが、頭から順番に全部やっていくという非効率な方法をとってしまったのです。
そんな方法を選んだ理由としては、余裕を持って受かるために穴をなくしたいという思いでした。が、そうだとしても明らかにやり方が悪かったです。
これも『医学生のおすすめ勉強スケジュール』で伝えたように、意識すべきことは「土台を6割作ってそこからさらに固めていく」です。
その土台を6割作るための方法がまさに1周目問題です。
1周目問題とはQBで使われている言葉ですが、他の予備校の問題集にもそれに当たる問題はあります。
これは、医師国家試験対策のプロが、個人では不可能である圧倒的な時間と情報を費やして得た情報を、わざわざ受験生に教えてくれているものです。
これを素直に利用しない手はないでしょう。
僕はこれを無視して本当に無駄な時間を使いました。
全問題ある程度復習しながらやったところで、2周目をやる頃にはほとんど忘れています。運よく知識が残っていたとしても、その疾患の幹の部分とは限りません。
まずは1周目問題をきちんとやり切ります。順番は何でも良いですが、メジャー・小児・産婦(できればマイナー・公衆衛生まで)をこれで押さえます。正答率で言うと90%以上はとれるぐらいです。
そうすると、医師国家試験のほとんどの範囲の幹ができたことになります。まさに土台づくりです。ここまでが本当にしんどいですが、これを過ぎるとグッと楽になります。
土台をつけた後はこれに枝葉をつけていくだけです。これ以降は解説などを読んでも色んなことが繋がってくるので、ここからは2次関数的に成長していきます。
1周目問題を5年生までに完成させることを一つの目標にして問題集に取り組んでみてください。
間違えた問題を重点的にやるために
大切なことは既に伝えました。
ここはテクニック的な話です。自分なりのやり方で大丈夫です。その参考にするためのものです。
僕は医学部受験から以下のようなやり方を使っていました。似たようなことをしている人は多いのではないでしょうか。
僕はQBをmediLinkを利用して解いていました。なので、それを例にして説明します。
mediLinkではやった問題に対して「◎○△×」を付けられるシステムでした。そして、検索するときに「△問題だけ」とか絞ることができます。これはオンラインならではのメリットです。これを最大限利用します。
僕は基準として
◎:何度やっても解けるし、問題の意図がわかる
○:解けるが、疾患の理解が甘い
△:正解したが確信を持って答えられれない
×:間違えた or 偶然正解しただけで理解できていない
を目安に付けていました。
問題集をやっていく中で上記のようにマークしながら問題を解きます。
2周目をする時には×の問題だけまずやります。次に△→○とやっていきます。基本的に◎の問題は解きません。その時にまた◎△などのマークを付けていきます。
そうすると問題集を2周目終えた頃には新たに○や×などのマークがつくことになります。「△が◎になる」こともあれば「○が×になる」こともあると思います。しかし、1周目を終えた時よりも◎(解かない)問題が増えることになります。
以下、3周目→4周目と繰り返し、全部◎になるまで繰り返します。
周回が増えるにつれ、◎が増えるのですぐに時間が掛からなくなり、間違えた問題の解説を中心に何度も目を通すことになるので、勝手に重点的に復習できることになります。
また、解説を読む時はむしろ◎をしっかりと読んで、必要な知識だなと感じたらそれを講義ノートなどの疾患のまとめのページなどに記載しました。
△などの問題の解説はどうせ何度も読むことになるし、△や×などがついた疾患の理解の甘い問題の解説を読み込みすぎるとあまりにも疲れるからです。
周回を重ねる毎に完璧にしていけば良いのです。初めから完璧は疲れます。
こんな感じで問題集を解いていました。例としてQBをあげましたが、別に◎などのマークは自分で問題の横に書き込めば良いので、予備校の問題集でもそのまま利用できます。
チェックボックス(問題の横にある□ですね)を使っても良いです。
解けない問題を■と塗りつぶしていきます。2周目以降は■の問題のみやっていきます。その際間違えた問題はまた隣の□を■へと塗りつぶします。3周目は■■となった問題だけやります。以下ループ。そうすることで、■の量で自分が苦手な問題が分かります。
このやり方をYouTubeで穂澄先生が言っていましたが、僕自身、医学部受験の時にほぼ同じやり方をしていました。色んな問題集にチェックボックスが付いていることが多いので、似たようなやり方をしていた人は結構いるんじゃないでしょうか。
今回、例として二つの方法をあげましたが、おそらくほぼ同じ方法や、やり方こそ違えどやっている内容はほぼ同じなことをやっている人は多いでしょう。
せっかく付いているので、こういった機能を利用して効率よく勉強してもらえたらと思います。
最後に
医師国家試験の問題集の量は半端ではありません。やり方が悪いとかなりの時間を無駄にします。
問題集は疾患の理解につながる大切なものです。が、そこを意識しないと振り回されます。
問題集に振り回されるのではなく、上手に利用して、医師国家試験の合格に近づけるようにしてください。