研修医おすすめ本 -内科編-

今回は内科編です。

が、内科編と言っておきながら、残念なことに僕は初期研修期間中に全内科を研修することはできませんでした。

後期研修で内科を専攻しているので今後も継続して内科は勉強していきます。ですから、また改めて各科に分けておすすめ本を紹介できればと思っています。

generalistの必要性が叫ばれているためか、医学生時代よりもそれ向けの本がかなり増えてきているので、これからきっと良書が出てくるでしょう。楽しみです。

※最近、本屋で物色していたら、立ち読みですが「これは!」と思った本があったので名前だけ紹介しておきます(いずれきちんとレヴューできれば)。
・『循環器診療エッセンシャル』
・『消化器内科専攻医マニュアル』
・『レジデント・ジェネラリストのためのリウマチ・膠原病診療』
の3冊です。

『循環器診療のロジック』

循環器。内科の中のキングですね(と個人的に思ってます)。皆さんもおそらく研修で回ったでしょう。

循環器内科のマニュアル本でしたら『循環器内科グリーンノート』が一番良いと思うのですが、基本的にマニュアル本以外からの紹介としたいので、名前だけ紹介してパスとします。

さて、なぜ今回『循環器診療のロジック』と言うあまり見かけない本を紹介したかというと、診療の仕方が見えてくるからです。

おそらく循環器の研修期間中、先生たちは忙しいこともあり思ったより上級医は教えてくれなかったんじゃないでしょうか。僕はそうでした。

そうなると、せっかく研修して一生懸命カルテを書いたところで、「なぜ上級医はこの検査を入れたのか、今後の流れはどうなるのか」はなかなか理解できません。

この本はその診療の流れを見せてくれます。

各疾患が症例ベースに記載されていて、次はどの検査を入れますかなどの問題が続きます。そしてそれに解説をしてくれます。その解説を読むことで「なぜこの検査が必要なのか」が理解できるようになります

つまり、今まで上級医がやっていたことに「コレに気をつける必要があったからこの検査をやったんだな」って思えるようになります。

マニュアル本だと確かに必要な検査などは書いてあるのですが、その理由はほとんど書いていません(だってそういう目的の本ではないですから)。

ですが、本書はその穴を埋めてくれます。名前の通り診療のロジックを見せてくれるのです

例えば、同じ心不全の患者さんを受け持つにしても、ただ漠然と受け持つのと、本書で一回心不全の項目を読んでから受け持つのでは視界が全然違ってきます。

たくさんの先生が分担している本は記載がどうしても教科書的になってしまう傾向がるのであんまり良いイメージがなかったのですが、この本は全く感じませんでした。

僕は循環器の研修が終わってからこの本を見つけたのですが、できれば循環器研修中に出会いたかった一冊です。

『循環器治療薬ファイル』

『循環器診療のロジック』を残念ながら循環器内科研修中に見つけられなかった僕が循環器内科研修中に読んでいた本です。

僕は循環器内科を回った時の目標として、必須薬剤の薬の使い方をある程度身につけたいと思っていました。例えばドブタミンやノルアドレナリン、降圧薬と言った薬剤です。

そこで選んだのが本書です。

ICU本で紹介した『ICU/CCUの薬の使い方,考え方』とやろうとしていることは似てますかね。薬をメインにして疾患を勉強するスタイルです。前半に疾患の説明があり、後半は薬剤の各論と言った感じです。

薬に関して著者の意見を素直に言ってくれるのが非常に役に立ちます。循環器の先生はこういう思いでこの薬剤を処方していたんだなってのが感じ取れます。カテコラミンなどの投与量も具体例が出ているのでそれも為になりますね。

先の『循環器診療のロジック』もそうですが、教科書的に淡々と書いてある本とは違い、頭の中にあることを表現してくれているので、直接教えてもらっているような感じを受ける本となっています

『レジデントのための 呼吸器診療最適解』

「まさにこれこそ欲しかったヤツ!」となった本です。

個人的に絶賛している医師国家試験のマイナー対策本の『まとめてみた』シリーズや、同じ著書の『Essence for Resident』シリーズに出会った時と同じ気持ちですね。

レジテントが研修する際に勉強すべきところが、必要十分な量で、そして丁寧にわかりやすく書かれています

「言うが易し行うが難し」であるこの難題を完璧にこなしています。個人的にレジデントが読むべき本として100点満点の本だと思っています

こんなことを言っておきながら、この本も呼吸器内科の研修が終わってから出版されたため、研修期間中は読めませんでした(このパターンばっかだな)。

カラーで見やすく、また会話プラス症例ベースになっているため読みやすくもなっています。診療手順やポイントもフローチャートでの記載があり、『循環器診療のロジック』と同じく先の診療が見えてくるようになっています。

医学書院は「レジデントのための」って本はいくつか出てますが、ちゃんとシリーズとしてなっているのか微妙なところです(本によってスタイルが全然違います)。

この呼吸器内科と同じような趣旨のものをシリーズにして各科で出して欲しいところなのですが…

『レジデントのための腎臓教室』

こちらも初期研修医向けとしては100点満点だと感じる本です

内容ももちろんなのですが、僕は分量も結構大事だと考えていて、先の呼吸器内科の本といい、こちらの本といい、ローテーションしている1-2ヶ月以内に問題なく読み切れる分量になっています。それでいて、かつ網羅的です。

網羅的なんですが、初期研修医にはぜひ学んで欲しいところをしっかりと押さえてあるという感じです。実際それを達成するのは難題だと思うのですが、さすがはベストティーチャー、見事に達成されています。

フルカラーなのもあって読みやすさも申し分ないです。それでいてさらに分かりやすいです。

見事な一冊です。本書から入ると他のレジデントマニュアル本も理解しやすくなるはずです。

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