医師国家試験に向けての対策が本格的に始まる5年生あたりの時に、予備校と共に『イヤーノート』の団体購入の話があるかと思います。
上記画像の辞書と同じような厚さを誇る『イヤーノート』。
団体購入の話があるため皆んなに合わせてなんとなく購入してしまったものの、結局使わずに枕代わりに使用していた?!人もいるんじゃないでしょうか。
今回はそんな『イヤーノート』について書いていこうと思います。
そもそも『イヤーノート』って何?
僕も医師国家試験をどうやって勉強しようか調べていくときに初めてこの名前を知りました。『イヤーノート』って名前だけを見た時は、「自分で作るまとめノートか?なんでそんなものが販売されてんの?」って思ってました。
実は(?)『イヤーノート』も泣く子も黙るメディックメディアから出版されています。
本書の内容としては、膨大な内科・外科疾患に関する知識を1冊にまとめており、最新のガイドラインや診断基準にできる限り準拠できるように3月頃に毎年改訂されています。
『イヤーノート』はその疾患が医師国家試験に過去何題出題されたかや、近年問われた知識、またトピックスなどがわかるようになっており、さらに毎年改訂されるため学生が得られる情報としては最新に近いものとなっています。
対象としては、医師国家試験対策を始めるあたりの医学生から、内科専門医(内科認定医)試験を受ける年代の内科医となっています。
同じくメディックメディア から出版されている『レビューブック』の上位互換バージョンと考えてもらって差し支えないでしょう。
『イヤーノート』は分厚さもさることながら、内容も正に “辞書” といった感じで、内科・外科疾患を端的にまとめています。
そう、内容はまさに辞書なんです。
図書館なり書店なりで本書を開いてみればすぐわかるのですが、本当に知識がひたすら羅列されています。「これを読んだお陰で疾患の理解につながりました!」的な本ではありません。
メディックメディアの出版なので、例によって『クエスチョン・バンク』などとの相性はいいのですが、『イヤーノート』を使って疾患の理解につなげるものではありません。
購入する前にここだけは意識して欲しいと思います。
医師国家試験対策に『イヤーノート』って必要なの?
本書の帯には「医師国家試験の95%が解ける!」などの魅力的な文言があります(そりゃあ、あんだけ分厚ければそれぐらいしてくれないとね、と個人的には思ってしまうのですが)。
また、先輩曰く「ほとんどの人が購入している」らしく、実際周りを見てみると購入しそうな雰囲気があります。
それらにつられてついついあまり深く考えずに購入してしまったが、結局ほとんど使わないまま医師国家試験が終了してしまったといったのが最も多いパターンでしょうか。
ん??
“結局ほとんど使わないまま医師国家試験が終了してしまったのが最も多いパターン” ?!
そうなんです。結局ほとんどの人が『イヤーノート』は使わずに医師国家試験に合格しているんです。
しかも、『イヤーノート』を使用している人のうち、大多数はたまに開く程度の使用頻度です。『イヤーノート』をメインに使っている人にするとグッと人数が減ると思います。
すなわち、医師国家試験対策において『イヤーノート』は必要ないのです。
『イヤーノート』は購入しなくていいのか?
結論から言ってしまえば、Yesとなります。
「じゃあ、『イヤーノート』は微妙な本なの?」って思う人が出てきそうですが、それはNoです。
『イヤーノート』は間違いなく使えるツールです。ただ、ほとんどの人がそれを使いこなすレベルに達していないだけなんです。
僕の話をしますと、6年生の時に『イヤーノート』を使い倒していました。何度もページをめくっていたため本の小口に指の汚れが付いて黒くなるぐらい使っていました。
5年生が終わる時点で既に医師国家試験対策としてはほとんど完成している状態で、Medu4の講義ノートでは物足りなく、5年生の時には内科学は『iMedicine』を使用して勉強していました。
『iMedicine』はとても大好きな教科書なのですが、改訂がなされておらずやや情報が古いことと、暗記用とするには文章量が多く使いにくいという欠点がありました。
(『iMedicine』に関してはこちらをご覧ください)
そこで候補に上がったのが5年生の時に団体購入していた『イヤーノート』でした。
『イヤーノート』は端的にまとまっているため、疾患の理解にはつながらないものの、探したい情報をすぐに見つけたり、暗記しやすい構成になっています。
これが僕のニーズにマッチしていたため、結果使い込むことになったのです。
ただ、情報量としては内科専門医(内科認定医)試験までを範囲にしているため、医師国家試験対策に使用するとオーバーワークになりやすいという欠点があります。
僕は既に内科に進むことを決めており、医師国家試験対策自体は終了していたので、そこはほとんど気にしていませんでした。
しかし、大多数の医学生にとって、目下の目的は医師国家試験に合格することであり、『イヤーノート』の購入を検討している時期はまだまだ知識が不十分な状態だと思います。
また、『イヤーノート』の売りでのひとつである最新に関しては、そもそも医師国家試験に問われることはまずありません。
長くなったのでまとめると
- 疾患を理解すための本ではなく、ほとんどの学生はまだ使う前の段階にいる
- 内科専門医(内科認定医)試験までカバーしているためオーバーワークになる
- 最新の知識は医師国家試験で問われることはなく勉強する必要はない
これらが医師国家試験対策には『イヤーノート』が必要ではない理由となります。
おそらく、たまに参照するぐらいの使い方をする人はそれなりにいるとは思いますが、そのために結構な値段のする本書を購入するには、理由として少し弱いのではないでしょうか。
まとめ
僕の経験も踏まえてつらつらと書いてみました。
大多数の医学生を相手にして、「『イヤーノート』は医師国家試験に必要か?」と問われたら「必要ない」と答えます。
ただ、それイコール『イヤーノート』がダメな本ってわけでは全くありません。
むしろ、その内容をよく知ってから購入すれば強い味方になってくれると思います。
今回の記事を参考にしてみて、自分にとって本当に一度必要かどうか考えてみてから購入を検討してみてもらえればと思います。