研修医おすすめ本 -next stage-

年の瀬も年の瀬です。いよいよ医師国家試験が目の前に迫ってきました。

医師国家試験が近づいている人にとっては年末年始なんて関係ないよって言われそうですが、安心してください。医師になっても同じく年末年始なんて関係なくなります笑

僕は、初期研修1年目は1月2日に日勤、3日は当直、2年目にいたっては12月31日が当直だったので働きながら年を越すことになりました。今年も年始から当直ですしね。

少し愚痴が入りました。

さて、今回は番外編に近いです。

何故かみんな苦手にしている英語の本を3冊紹介です。

このブログを読まれている方の中には医師国家試験は割と余裕があるよっていう人もいると思います。ていうか、そうなって欲しいなって気持ちから書き始めたのですが。

また、初期研修医になると医師国家試験がなく、目標となるものがないので、日々の研修を超えてもっと勉強したいんだけど何をやれば良いのかイマイチわからないって人もいると思います。

今回はそんな余裕がある人たち向けの本たちです。

ちなみに・・・

英語の問題集に関して言えば、一番有名なのがUSMLE関連のものでしょう

おそらく知っている人が多いでしょうが、一応軽く説明しておくと、USMLEとはUnited States Medical Licensing Examination の略で、名前のとおり米国医師資格試験のことです。

日本人がアメリカで医師として働きたい場合、日本の医師国家資格では働くことができず、アメリカの医師国家試験を受験する必要があります。その試験がUSMLEって訳です。

試験にはstap1~stap2があって〜っと話が長くなるのでここでやめときます。

残念ながら僕自身はアメリカで医師をやる気はさらさらないので特にUSMLEの勉強はしてません。

なので、詳細を知りたい人はさらにググっていただければ実際に試験を受けた人たちのブログがあるので、それを参考にした方が有益になるかと思います。

僕がUSMLEの勉強をしなかった理由としては、①上記にあげた特にアメリカで医師がやりたい訳ではないこと、②USMLEはstap1のスコアが重要なのですが、そのstap1は基礎医学の問題集でして、医学部4年生ぐらいから基礎医学の英語の問題集を別途やっていた僕には再度やる意味がなかったこと、③これがメインで臨床に即した問題集を探していたこと、などです。

この記事を読まれている方(特に医学生)で、将来少しでもアメリカで医師として働きたいと考えているなら、おそらくUSMLE関連の問題集を使った方が良いと思います。

『MKSAP』

今回紹介したいなかのメインです。

USMLEは聞いたことがあっても『MKSAP』を知っている方はさすがに少ないでしょう。

過去の記事で僕が初期研修期間中にやってよかったことの中で少しだけ触れたかと思います。

ズバリ、『MKSAP』とアメリカ内科学会の生涯学習用の教材です

日本内科学会も専門医向けの生涯学習用問題集を作成してますよね。以前までは解説がついていないという何とも残念な仕上がりになってましたが、最近は解説もつけているようです。

要は、『MKSAP』はそれのアメリカ内科学会版という訳です。

と言うわけで、僕はACP(American College of Physicians)、つまりアメリカ内科学会の会員です。ちなみに何度も言うように別にUSMLEを受けてアメリカで医療をやるつもりは全くありません。

なぜ、アメリカで医療をやる気がなく、日本内科学会の生涯学習用問題集がある中で本書を紹介したのかと言いますと、問題レベルが秀逸だからです

他にも内科専門医向けの問題集はいくつかあるのですが、日本内科学会の問題集をはじめ、なんて言うか、本当に問題集って感じで雑学とかの感じに近いものが多いです。

自分が消化器内科医だったとして、循環器の問題を解いていても、これを知ってどうなる?って感じの問題選定が多い気がします。

『MKSAP』に関しては、その辺の問題選定が上手くて、他科のことだけど知っておいた方が良いよってレベルの問題の比率が高いです。これが僕が『MKSAP』を一番に推す理由です。

内科医としての教養といった感じですね。

ちなみに、問題集ではなくあくまでも教材なんで教科書もついてきます。内科各科の問題集と教科書からなっています。

そしてこの『MKSAP』、僕が買った医学書関連で一番高かったです。

ACP会員価格で$650ぐらいです。日本だと南江堂で販売されてます(Amazonなどでは正規品は販売してません)が、僕が買ったComplete版だと約12万5千円ですね。お、恐ろしい。

当時は『MKSAP18』でしたが、2020年(初期研修医2年目)の時に出たコロナ手当で購入しました。大学病院での研修期間中で給料も安い時期だったので、購入にかなり勇気がいったのですが、購入して本当によかったです。

最近改訂されて『MKSAP19』になってます。当然また購入しました。内科医として改訂するたびに購入して知識をアップデートしていきたいと思ってます。

さて、できればおすすめしたい本なのですが、初期研修医の方や、ましてや医学生の方などはなかなか手が出ないお値段なのがネックですね。かといってACPに登録してまで購入する人がたくさんいるかと言われると、う〜ん・・・

メルカリなどで定期的に確認していると、5-7万円ぐらいでたまに販売してますね。興味がある人は探してみるといいかもしれません。運がいいと購入できるかも?

『PEER』

こちらはアメリカ救急学会(American College of Emergency Physicians)の問題集です

初期研修を救急に力を入れて勉強したのですが、それでも力不足と感じていました。

将来内科を専攻するにあたり、急変した患者さんをしっかりと診るにはまだまだ勉強が必要だと痛感する毎日です。

初期研修の終わりから救急の問題集でいいものがないかと結構探していたのですが、その時に見つけたのが本書です。

ちなみに別に英語の本を探していたわけではありません。

日本の救急専門医試験とかの問題集、アメリカの問題集、アプリなども含めて色々探したのですが、良いものがなかなか見つかりませんでした。

ようやく行き着いたのがこちらで、結果的に英語になってしまっただけです。

先の『MKSAP』といい、こちらも問題レベルの選定がいいです。

勝手な印象としてアメリカの医療は教育がしっかりしている印象があるのですが、教科書や問題集の作りからしても「アメリカ>日本」な気がします。

日本の基礎医学の教科書なんかもそうですよね。

話が少しそれましたが、そのアメリカ救急専門医課程の教育の一つとして用意されているのがこの問題集です。

そして今度は『MKSAP』よりもまだ手に入れやすいです。Amazon.comの方(アメリカのアマゾンのサイト)から購入できます。2万円前後です。

あとは先ほどと同じくACEPの会員になる方法ですね。さすがに僕は会員にはならずAmazon.comから購入しました。

こちらも『MKSAP』と同様、過去メルカリで販売されたこともあったようですが、『MKSAP』以上に激レアですね。ほとんど出回ってないです。購入を考えるならAmazon.comが無難でしょう。

『Harrison’s Principles of Internal Medicine : Self-assessment and Board Review』

最後に紹介するのがこちらです。

元ネタは皆さんがご存知のとおり『Harrison’s Principles of Internal Medicine』です。現在原著は第20版が出ており、『Self-assessment and Board Review』も最新は第20版が出てます。

おすすめの内科学書でも述べたように、内科学書としてハリソンはかなり優秀だと思ってます

やはり唸る記載を見かけることが多いですし、病態生理の記載が丁寧で、ありきたりですがとても勉強になります。

が、同時に使い勝手に非常に困る一冊でもあります。

如何せん分量が多く、やはりできれば時間のある医学生におすすめしたいのですが、ハリソンでいきなり内科学を勉強するのは厳しすぎます。間違いなく迷子になります。

『病気がみえる』か何かで一通り基礎ができた状態でハリソンを利用し始めるのが一番いいのですが、大多数の医学生にとって内科学の基礎ができてくるのが医師国家試験に向けて勉強がある程度進んでからで、そうなると今度は目の前に医師国家試験が近づいてくためハリソンは読んでる余裕がなくなります。

また、研修医になったらなったで実践は知らないことが多く、教科書をじっくり読む余裕がないことも相まって『レジデントマニュアル』シリーズなどの方が使い勝手が良くなり、ハリソンに手が出なくなるのです。

余裕がある人には是非読んで欲しいんですけどね。

そこで、このBoard Reviewです。

Board Reviewの名の通り問題集です。そして、この問題集の解説はハリソンの原著を引用してます(全部が全部ではないですが)。

つまりは、この問題集を解きつつ、解説を読んで勉強することで、該当するハリソンの項目を読んでいることになるのです。

過去に何度も伝えているように、勉強においてアウトプットは非常に重要です。いくらハリソンが良い教科書だといっても、漠然と読むのではなかなか身につきません。

それが、このBoard Reviewだとアウトプットしながらハリソンを勉強できるのです

あと、上記2冊と違い一番入手しやすいです。アマゾンで普通に売ってます。あとはアプリ版もありますね。値段は1万円前後です。

問題の選定としては上記2冊の方が上手いかなって感じですが、手に入れやすさや、値段なども考慮すると一番候補になるのがこの本でしょうか。

一番おすすめしたい『MKSAP』の値段が値段なんで、日頃英語に馴染みのない方はまずはこのBoard Reviewで自分は英語の本で勉強できるかどうか試しておいて、やれると言う確証を得てから『MKSAP』に手を出してみるっていう使い方もいいかもしれません。

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