5・6年生のメインである臨床実習。
皆さんは真面目にこなしているでしょうか。
低学年で基礎医学が始まったときは「基礎つまんねー。早く臨床の講義を受けてぇー。」となり、臨床の講義が始まると「座学飽きた。早く臨床実習やりてぇ。」となり、臨床実習が始めると「臨床実習より医師国家試験の勉強が重要っしょ。」となるのが恒例でしょうか笑
今回はそんな臨床実習について少しだけ書いてみます。
「臨床実習って大切ですか?」
こう聞かれたら「はい」と答えます。
初期研修が始まると痛感すると思いますが、やはり教科書で知識をつけることと、それを臨床に生かすことには圧倒的に差があります。
研修が始まったばかりの頃は、ちょっとしたことを看護師さんに「〜ってなってますけど大丈夫ですか?」と聞かれると答えられないことが多いです。慣れている看護師さんの方が圧倒的にできますね。
臨床をやり始めると、疾患に対してどうのこうのの以前の問題の方に大きく躓きます。まあ、これは1年目研修医の毎年の恒例行事みたいなもんでしょう。
臨床実習を真面目にやるとこの辺りが “多少” わかるようになるので、研修が始まってから “多少” スムーズに仕事ができるようになります。やはり、仕事ができる人の方がいいですよね。
そして、学びたい疾患を実際に患っている患者さんを診察することは本当に多くのことを教えてくれます。
身体診察ってかなり重要で奥深いものなんですが、これって教科書でいくら勉強しても身につくものではないですよね。それを身につける本当にいい機会になります。
学生時代に先生たちによく「患者さんにたくさんあって診察しなさい」と言われたのですが、研修医になるとその意味がよくわかります。
入院患者さんでゆっくり対応ができる時ならまだいいですが、初期研修医になって救急外来に出た時に、やってきた患者さんにどうやって診察したらいいかがわからない、って状況になってる人を本当によく見かけます。
また、「自分がこの患者さんを本当に担当しているんだ」と強く思っていると、診療をしていく上で色々な疑問が浮かんできます。
それらを解決しようと教科書を読むのと、ただただ教科書を読むのとでは、理解がまるで違ってきます。疑問が疑問を呼び、さらに色々な知識が必要であることを痛感します。
と、まあ、本当に勉強になるんです。なんやかんや、やっぱり実習は大事です。
「臨床実習って医師国家試験に役に立ちますか?」
ただ、多くの人の興味はこっちでしょうね笑
少なくとも僕の答えは「いいえ」です。
医師国家試験対策で重要なのは何をおいても過去問です。臨床実習で知識を得てくよりも圧倒的に効率がいいです。
先ほど臨床実習は大事だと偉そうに述べましたが、僕は学生の頃、臨床実習は大嫌いでした笑
理由はいくつかあるのですが、時間対効果が悪すぎるというものが一番大きかったです。
ビビリなので実習をサボりまくるということはしなかったのですが、できる限り逃げてました。手術室なんて時間をかなり拘束されるため本当に嫌で、どうやったら脱出できるかばかり考えていました。
基本的に医師国家試験は教科書的な知識が中心になるため、臨床実習での知識は問われにくいです。
おそらく今後は多少は臨床実習を絡めた問題を増やしてくるでしょうが、それでもその問題数には限界があると思います。というのも、臨床に出ていないと解けないような問題は応用問題になるからです。
確かに臨床実習は大事で勉強になると言いました。でもこれって、ある程度の教科書的な知識があるからそれを生かせるわけでして、そもそも教科書的な知識が不十分な状態では臨床実習は生きにくいです。
臨床実習が始まる5年生といえば、臨床講義で一通り学んだとはいえ、もはや忘れていることも多いでしょう。
「この疾患ってどんな病気だったっけ?」の状態で患者さんを診察しても診察のポイントもわからないし、疑問も浮かんできません。
臨床実習が始まった頃だと、大多数の医学生は医師国家試験の勉強なんて始めていないですし、「この疾患ってどんな病気だったっけ?」に近い状態でしょう。そういった人たちがまず優先すべきは医師国家試験対策をしながら教科書的な知識を身につけることだと僕は思っています。
まとめ
臨床実習が大事なことには疑問を挟む余地はないです。でも、目的を意識しないといけません。
医師国家試験対策をしつつ臨床実習を真面目にするのが一番いいのでしょうが、みんながみんなそこまで真面目ではないでしょう。
医師国家試験対策という意味では、残念ながら臨床実習は効率が悪いです。また、いくら真面目にやったとしても一人の患者さんから学べる疾患は限られていて、医師国家試験の範囲を到底カバーできるものではありません。
医師国家試験に受からないと医者にそもそもなれません。
自分の立ち位置を理解して、臨床実習に力を入れられるレベルにあるのか、それともそれ以前の状態なのかを把握し、優先順位をつけつつ臨床実習に臨んでもらえればと思います。