初期研修を振り返る

おそらく今年度最後の投稿でしょう。

ですから、初期研修修了に相応しいこんな話題にしてみました。まあ、ただの雑談です笑

大学病院へ行く途中に桜の木があるのですが、とても綺麗で毎日なんか得した気がします。去年の今頃も全く同じ光景を見ていたんですね。もう1年経ったわけですか。

初期研修。終わってみれば早かったですね。

「成長しているんだろうか」

この問いを自分に投げかけ続けた2年間でした。

同じ学年の皆さんはどうですか?成長できましたか?満足のいく研修期間でしたか?

今1年目の皆さんは、もうすぐ先輩になるわけですね。憧れの先輩がいたら、自分もその先輩のようにカッコよくなれるでしょうか。

僕は来年度から専攻医になるのですが、楽しみもありつつ、グッと責任も増えるので不安もつのる今日この頃。

1年目の4-5月頃 「全くわからん」

とにかくわからないことだらけのスタートでした。

病棟で仕事って何やるんだろうか? チューベンの先生にびっちりマークでいいの? 今時間あるけど休んで大丈夫? あれ、レジ室に他の同期いないけどみんな何してんの?

まさにこんな毎日でした。本当に些細なことが分かりませんでした。

今まで学んできた教科書的な知識でカバー仕切れない実践的な知識もたくさんあり、追加で教科書をたくさん買い、教科書代がかなりかかりました。

病棟ではルート確保のPHSがなっても全く確保できませんでした。同じ科を回っている同期も先輩もおらず、そして外科系のため専攻医以上の先生もオペでほとんど病棟におらず泣

病棟にいる数少ない先生を捕まえてお願いしていました。

そして慣れない当直。ビビりまくってました。そして案の定、何もできませんでした。

救急外来の魔力か、病棟でようやく入るようになったルートも救急外来では全く入りません。それすら先輩に頼ってました。

本当に何もわからず、何もできずの毎日。わからないことが多過ぎでただただ時間だけが過ぎていく毎日。帰ったら勉強する気力もなくただ寝るだけの毎日。

仕事をしながらだと、なかなか自分の時間が取れないというのを痛感していました。

1年目の夏以降 「救急を勉強するか」

ゴールデンウィークを過ぎた頃ぐらいからは、さすがに病棟業務とやらがどんなものかが分かり始め、勉強もし始めるようになったのですが、今度はどう勉強しようかですごく悩んでいました。

初期研修は医師国家試験とは違い、試験などがないので成長が分かりにくいのです。

各科の研修が終わっても、これで本当に大丈夫だったのか?この勉強の仕方、研修スタイルで問題なかったのか?とずっと悩んでました(ちなみに、この研修でよかったのか問題は今でも悩み続けています)。

ただ、この時期に初期研修でやるべきことを明確化したのですが、それは非常に良かったと思います

僕は秋頃が救急の研修だったのですが、それに際して、「初期研修であれもこれもやろうとしても、全部中途半端に終わってしまう。それならいっそのこと救急外来での研修に集中しよう。」と考え、勉強の内容を随分と救急系に絞りました。各科の研修もその科でのcommon diseaseと救急疾患の対応に絞って勉強をしてました。

目的が随分と明確化できたので、研修での迷いは減りましたね。この時期に読んだのが『Step Beyond Resident』です。

今でもこの決断はファインプレーだと思ってます。やっぱり、医師になった以上、急変した患者さんにすぐに対応できる力は必須ですから。まず最初に身につけるべき力だと思います。

それこそ医師になりたての頃は、恥ずかしい話ですが、新幹線などで「お医者さんはいらっしゃいますか〜」と言われたとしても、名乗りでることはできなかったと思います。

ですが、救急に力を入れれ勉強するようになったことで、1年目の終わりには、少なくとも “名乗り出ることは問題なくできる” ぐらいにはなれました(皆さんは名乗れそうですか?)。

そして、以前に言った救急外来での新たな先生との出会い。本当に感謝しています。

2年目と『MKSAP』

4-5月は市中病院から大学病院に変わったことで様々な違いがあったため、それに戸惑いつつも当時希望していた診療科での研修をスタートしました。

が、なんと、学生時代からその診療科に進むものだと自分でも思っていたのに、まさかの「なんか違うな」と思い始めます。そのため、今度は志望科をどうしようかとまた悩んでいました。

悩んだ末、今の診療科に決め、再度病院見学を始めて、夏に入るまでに現在の病院に就職する方向が決まったって感じです。

大まかに進路が決定しだした梅雨明けぐらいからは、研修している診療科も比較的時間に余裕のあるものが多かったため、ここで『MKSAP』をやろうと思い立ちます。結果、これもファインプレーでした。

MKSAP(問題集)に関しては今後個別の記事にするので、詳しいことは今日はスルー。

『MKSAP』をやったことをファインプレーと言いました。実は当初、この『MKSAP』は専攻医の時期にやろうと考えていました。

が、専攻医になると責任も仕事も増え、なかなか時間が取れないよな、と感じ、まだ時間に余裕のある初期研修期間中に前倒しにしたのです。

やってみたのですが、実際その通りでした。結構大変でした。大きく2周できたのですが、この時期にやっておいて本当によかったです。専攻医になってからでは遅々としてなかなか進まなかったでしょう。2年目のうちの結構な時間をこのMKSAPに使いました。

大きく2周ですが、全て教科書を確認しながら、とは流石にいきませんでした。ただ、僕が医師国家試験での勉強法で何度も伝えているように徐々に完成させていくのが重要ですので、今後教科書を使いつつさらに深めていこうと思ってます。生涯学習の教材ですしね。

また、やっぱり内科は全ての科を研修したいなっていう思いが強くなったのも2年目でした。まあ、これは僕が専門医になったとしても総合診療マインドも持った内科医になりたい、という思いがあるからそう感じるのかもしれません。

なんで研修しておきたいと思うかというと、研修したことがある科とそうでない科では、教科書などを使って自分で勉強していても全く疾患の見え方が違うからです

これは結構感じます。下手なりにもその科にある目標を持って研修すると、やはり何かしら身につきますし、その診療科に対する勉強の仕方というか、診療の仕方みたいなものが見えてきます。

やはり “体感する” ってのは大事ですね。

それもあったので、後期研修では内科をローテートすることもできる病院を選びました。

2年目は1年目ですでに「初期研修では救急を重点的に勉強する」という目標を立てていたことと、1年目である程度リズムができていたこともあり、まあまあスムーズに勉強はこなせたかなと思います。

勉強以外にも一般の読書に時間を当てたり、お酒を飲んだりと、自分の好きなことにも時間を割くことも出来ました。

最後の最後まで「どうやったら成長できるか」という問いとは格闘を続けていましたが、格闘することで、勉強スタイルなどを変更したりと工夫をしてきたため、結果的にある程度満足いく勉強法に落ち着いたんではないかなぁと思ってます。

初期研修をまとめると…

1年目に病棟業務に慣れつつ、救急外来での勉強にしぼり、医師としての基礎中の基礎を身につける。そして2年目でICUを研修してその救急外来での幅を広げつつ、感染症と『MKSAP』を勉強することで総合内科的な能力も伸ばしていったっという感じです。

もちろん、細かなところでは悩んでいることは色々あったりしますが、全体的な方向性はかなり満足しています

今研修をやり直したとしても、間違いなく同じようなことをやっていたでしょう。それに際して選んだ教科書や勉強し始める時期がもっと効率良くなるって感じですかね。

今振り返っても、ターニングポイントは間違いなく1年目の夏頃に初期研修での目標を救急に絞ったことです。メリハリがないままダラダラ勉強しないですみました。

皆さんは、今までの研修を振り返ってみてどうでしょうか。満足いくものとなっていますか。

来年度から初期研修が始まる方はどんな初期研修にしようと考えているでしょうか。

研修を考えるキッカケになればと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA