
今回は総合内科系の本を。
僕が初期研修で一番勉強したのがまずは救急・ICUでした。
医師になった以上、急変に対応できるのは最低限と感じていたからです。
そして次に力を入れたのが総合内科的でした。
内科各科の勉強も大事だと思うのですが、初期研修期間中は各科に共通する、医師の土台となる基礎をしっかりと身につけたいと考えていました。それに合致すると考えたのが救急と総合内科だったわけです。
個人的に、その目標を持ち続けて勉強したため多少はマシになれたのかなって感じています。
救急編はすでに書いてるので、今回は総合内科の本で役に立ったものを紹介していきます。
『内科診療ことはじめ』
この本は僕が初期研修医の頃はありませんでした。
が、僕が初期研修医であったら迷わず購入していたと断言できるほどの本となってます。
著者の杉田先生には直接お会いしたことがあるのですが、非常に患者さん思いの教育熱心な先生です。
教育的なだけあり総論をしっかりとされつつ、取り上げている疾患もどの診療科へ進んでも対応が必須のものばかりです。
総合診療マインドのある先生が書かれた本、って感じに仕上がってます(だから好きな本になるのですが笑)
レベルも丁度初期研修医の先生向けになってます。
杉田先生が教育者で、初期・後期研修医に接する機会が多いので、そのニーズをしっかりと把握されているのでこのような本が書けるのでしょう。
是非手に取ってみてください。


『レジデントのための内科診断の道標』
元々はここで『ジェネラリストのための内科診断リファレンス』をおすすめしていたのですが、初期研修医向けとしては難しいと判断したため、内科専攻医おすすめ本に移しました。
それに伴い、もともと存在を知っていたこちらを研修医おすすめ本として紹介します。
この本は系統で言うと『ジェネラリストのための内科診断リファレンス』と同じです。
名前の通り、その内容をレジデント向けに変更したもの、といった感じでしょうか。
症候学に力を入れてます。
内科医というか診療の土台ですね。
内科医になると最初から決めているのであれば、『ジェネラリストのための内科診断リファレンス』がいいのかもしれませんが、内容的に難しいかも、と感じる人にちょうど良いレベルかと思います。
初期研修医に必須となった内科外来でも、どういう疾患が想定されるかを考える手助けになるでしょう。


『誰も教えてくれなかった「風邪」の診かた』
忘れもしません。自分が大学4年生の春休み(5年生になる直前です)に行った病院見学先で、「この先生、すごく勉強してるなー」って憧れた当時初期研修医2年目の先生に勧められて購入した本です。
当時は第1版で、カラーではなく紙質もあんまり好きではなかったのですが、第2版でカラーとなり紙質も変わって非常に僕好みになりました。
皆さんは自信を持って風邪と診断できているでしょうか。ゴミ箱診断的に風邪と診断してしまっていないでしょうか。
本書で勉強することで、発熱でくる患者さんに言ってしまいそうになる「ただの風邪ですね」を、きちんと根拠を持って風邪と診断できるようになります。
症状を発熱+症候(鼻症状メイン、咳症状メイン etc…)に分類して説明していきます。そしてその中で風邪以外で気をつけるべき疾患なども教えてくれます。the 総合内科って本ですね。
僕は救急外来で発熱できた患者さんは今でもこの本で得た考え方で診ています。おかげで系統だてて診ることができていると思ってます。
また、患者さんへの説明も上手になりました。今のところ患者さんに抗菌薬の投与をしない説明をしたときは問題なく納得していただけています。
風邪は本当にどこの科でも診ることになります。そういったものこそ丁寧に診療したいですね。いい本です。


『ジェネラリストのための内科外来マニュアル』
名前の通り内科系の外来で役立つマニュアル本です。こちらも有名な本だと思います。
今の初期研修医1年目からは外来研修が必須となっていますし、その時に一番役立ってくくれるはずです。
また、研修している病院が2次救急だとこの本も結構役に立ちます。結局同じ外来なわけですからね。
症候毎に書かれており、見開きでその症候で鑑別すべき疾患が頻度とともに記載されています。また、これもお馴染みで見逃したくない疾患も一覧で載せてくれています。
臨床をやりだすと疫学は重要なんだなって改めて思うことが多いです。やはりよくある疾患にはよく出会います。
アプローチに関してもフローチャートがあるので、患者さんが入ってくる前にちらっと確認するのにもってこいです。
外来は一番困るでしょう。何せ学生時代に全くやらないからです。その時に本書の存在を思い出してくれたらと思います。


『レジデントノート』
最後は雑誌のご紹介です。
おそらく初期研修医に一番有名であろう雑誌です。
医学部の生協とかにも置いてあったのではないでしょうか。
「レジデント」ノートとあるように初期研修医をターゲットにして毎月出版されてます。
定期的に増刊号もあり、輸液や栄養などを特集したものがありそちらを購入したことがある人もいるんじゃないでしょうか。
羊土社の出版なので分かりやすく書かれてあります。初期研修医のニーズを熟知している感じです。
勤務先の病院で購読されていたりするので無料で読める方も多いかもしれません。
特に苦手分野を勉強したいとき、いきなり教科書を読むのがハードル高いと感じる方にはもってこいかと思います。
お値段的にも手が出やすいですし。
後期研修になって本格的に医療が分かってくると『Hospitalist』の方をお勧めしたくなりますが、そちらは下記の後期研修おすすめ本を参照してみてください。


※病棟管理系の本はこちらを参照ください
※内科専攻医になる予定の方はこちらもご参照ください