
今回もやや地味な内容を。
地味ですが輸液電解質、栄養に関しては初日から必須の知識です。
そして “神は細部に宿る” ではないですが、こういったところを疎かにしていないかどうかが、しっかりと勉強している人とそうでない人の分かれ目だと感じています。
専門的なことを勉強したくなる気持ちはわかりますが、グッとこらえてこういうことも大切にしていきましょう。
『レジデントのための これだけ輸液』
医学生おすすめ本 -next stage-でも載せました。
医師になったとはいえ、学生時代に輸液に関して力を入れて勉強した人は稀でしょう。そうなるとやっぱりこれから入るのが一番無難です。
輸液は医学生時代にあまり学ぶことがなかったのに、初期研修医になり病棟担当になった初日から看護師さんに「輸液のオーダーをお願いします」ときっと言われます。
この本では必要な知識を優先的に、そして実践的に教えてくれます。
実践的にとはどういうことか。
輸液は種類もそうなんですが、速度もオーダーしないといけません。
速度は患者自身の状態によっていくらでも変わるためほとんどの参考書では記載がないのですが、本書はそれを承知で目安を記載してくれているため参考になります。
また、本書を読むことで輸液製剤の種類の理解と使いわけの基礎ができるようになります。
間違いなく1冊目に最もおすすめです。


『より理解を深める!体液電解質異常と輸液』
初期研修医が手にするであろう輸液関連の本の中で、おそらく一番硬派で有名な本です。
結局コレに行き着くみたいなところがあります。
輸液に関してはよっぽど重篤な患者さんでなければ放っておいても体が勝手になんとかしてくれます。
なので、上記『レジデントのための これだけ輸液』をきちんと実践できれば基本問題は起こりません。
問題が起こらないことは大事ですが、根本から理解してもっと上手く管理したくなるはずです。本書はさらに上を目指したいなら必ず通るであろう本です。
硬派と書きましたが本自体は意外と薄いです。
が、この本結構難しい。
僕は学生時代に読みました。当時は『レジデントのための これだけ輸液』がなかったので他の本を何冊か読んで下地をつけた状態で読んだのですが、それでも最初はなかなか理解が追いつかなかったです。
学生時代に生理学を疎かにしていた人が、研修医になって突然やる気を出して輸液をこの本から入ろうと思って手にとるとときっと挫折します。
ただ、別に難しく書いているわけではないですよ。
腎臓は生理学の話が多いので生理学が好きな人はきっと楽しく読めると思います(あんまりいないか?!)
名前通り「より理解を深める」本です。勉強好きなあなたに。


『酸塩基平衡の考えかた』
Stewart 理論って知ってますか?
僕は知りませんでした。この本で酸塩基平衡の勉強をしていたら載っていたため知ることになりました。
普通は酸塩基平衡に問題が出たために電解質異常が出現するって考えます。しかし、Stewart 理論では強イオン差(SID:strong ion difference)による電解質異常のために酸塩基平衡の障害の原因になると考えます。
本書では通常のHenderson-Hasselbalchによる酸塩基の読み方とStewart 理論による酸塩基の読み方の両方を学ぶことができます。
酸塩基平衡というかなりとっつきにくい分野ですが、興味がある方は是非。


『ハルペリン 病態から考える電解質異常』
初めに言っておきますが、僕は買ってませんし読んでません笑
電解質関連の本では世界的に有名な本は何冊あるのですが、そのうちの1冊です。翻訳があるため名前だけの紹介です。
いずれは購入したいと思っているのですが、他の勉強もありなかなかチャンスがなかったと言い訳しておきます。
内科の後期研修中に読めれば…
と思っていましたが読めませんでした。笑
腎臓内科へ進むことを決めている先生向けですかね。


『わかる、できる!栄養療法』
羊土社から出版されていることから分かるように初期研修医や医学生で臨床に興味がある先生へ向けて書かれた本です。
以前は販売されてなかったので下記『治療に活かす!栄養療法はじめの一歩』を最初の一冊としてお勧めしておりましたが、今ではこちらを薦めます。
羊土社さんは初期研修医向けの本をたくさん出されているだけあって、「初期研修医のレベル」をよくおさえてあります。
どちらかというと総論よりで、基礎固めにぴったりの一冊です。
上級医といっても基本的には専門家の先生なので、総合診療をしっかりとしている病院で研修でもしていないがぎりだいたい栄養はおろそかにされてます。
病棟に出るといきなり必要な知識なのに、学生時代を含めて体系的に学ぶ機会がほとんどありません。
そこで本書です。
この本で書かれていることを実践できていればまあ病棟管理で困ることはほとんどないでしょう。
しかし、下記の『臨床栄養講座』といい、本当に初期研修医の先生向けのいい本が増えましたね。
学びやすくて羨ましいです。


『臨床栄養講座』
「臨床」と銘打ってあるように上記の『わかる、できる!栄養療法』よりは各論よりの内容となってます。
急性期疾患と慢性期疾患に分けて、疾患ごとの記載があります。
また、各疾患についてよく出てきそうなクエスチョンも書いてあるので役立ちます。
参考文献も豊富で、『わかる、できる!栄養療法』で基礎固めした後にぴったりの一冊です。
僕も今でも持っている本であり、内科専攻医が読んでもためになります。
この本に書かれてあることまでしっかりと考えて診療されている先生は総合診療マインドがあって素敵ですね!
『わかる、できる!栄養療法』とこの一冊で基本的に栄養関連は十分すぎるほどのものが身につくはずです。


『治療に活かす!栄養療法はじめの一歩』
ガイドラインよりは「読み物的な本で勉強したい」って人向けです。
1日とかで読めます。
評判は良い本ですね(だから買って読んだのですが)。
栄養の種類の違いなど、一通りわかりやすくまとまっています。
結構売れたため続編が出ていますが、立ち読みしたのですが続編の方は積極的におすすめするほどの内容ではないと思います。
最近はいい本がたくさん出版されてますので、番外編として掲載しておきます。


『こういうことだったのか!! CHDF』
懲りずに『こういうことだったのか!!』シリーズからの紹介です。
CHDFはECMOよりはまだ馴染みがありますかね。
救急外来でも透析患者さんは結構やってきます。そして「HDするからバスカテを入れる」とかの話を上級医がしてたりします。
僕は腎臓内科を研修していないこともあり、透析関連は本当に無知でした。
患者さんの多さから「いつか勉強せんといかん」と思っていたのですが、ICUで研修したときにECMOなどを勉強したついでに本書で学びました。
この本のシリーズがそうなんですが、本当に初歩からわかりやすく書いてくれています。HDとCHDFの違いがわからなかった僕が理解できたんですから。
そして、透析関連に関してはこの本で及第点のレベルに達します。
このシリーズ全般に言えることなのですが、理屈を大事にしているため基礎がしっかりできるので、より発展的な本を読んでもすごく入りやすくなります。
著者の方は本当にすごいですね。

