研修病院は大学病院と市中病院のどっちがおすすめか

今回もマッチングに続き研修の話題を。

正直なところ、この問題も一般化するのは難しいです。というか、不可能です。

ただ、僕は大学病院のたすきがけプログラムで研修したので、 “同一人物内” で大学病院と市中病院の比較ができるため、それりには意味があるだろうと思い書くことにしました。

参考にしてみてください。

市中病院での研修

大学病院と比較し、下記あたりが一般的にあげられる市中病院のメリットでしょうか。

  • 裁量権が多い(任せられる業務が多い)
  • 給料が高い
  • 手技が多い
  • common diseaseが見られる

これには概ね同意です。

裁量権に関しては、1年目に研修した市中病院が病院規模がかなり大きかったことと、まだまだ研修医1年目であったことから、2年目の大学病院と比べて劇的に変わった印象はありませんでした。

手技に関してもそうですかね。むしろ2年目になったことで手技は大学病院の方がやる機会が多くありました。

ですが、市中病院で研修していた1年目の時、2年目のできる先輩が僕と似たように「1年目の時は任せられる業務が少なくてこれで大丈夫かと心配していたが、2年目になってかなり任せられるようになった」と言ったので、同じ2年目で比較するなら、やはり市中病院の方が裁量権は大きいんじゃないかと思います。

この辺は、おそらく地方の人が少ない病院なればなる程任せられることが多くなるはずです。そのかわり教えられる人がいるとは限らないというデメリットもあります。

研修していて感じることは、上の先生がやっていることを説明を受けながらカルテで追うのと、実際に自分で1人の患者さんをある程度任せられるのとでは、成長度が全く違うことです

そういった意味では、市中病院でも規模が小さい病院の方が人手が足りない分、もっと業務を任せられたりして成長できたのかな、と思ったりします。もちろん、それはイコール激務に近づくことになりますが笑

やっぱり一番の違いは給料面common diseaseでしょう。

特に、いわゆる地方では給料面は大学病院と市中病院ではかなり違ってくると思います。僕は「2年目でできることが増えているのに給料が下がる」という、かなりガッカリな状態を経験しました。やはり金銭面は大事ですので、キーポイントですかね

common diseaseに関してもそうですね。大学病院と市中病院の両方で救急外来をした(ともに3次救急でした)のですが、やはりcommon diseaseの数はwalk-inが多かった市中病院の方が経験でき、勉強になりました。

もちろんどの市中病院(大学病院)で研修するかによっても多少違うでしょうが、この傾向はさすがにあると思います。

「初期研修医が救急外来をやる目的はどの診療科に進んでも必要になるcommon diseaseをある程度診られるようになること」だと思いますので、この点ではやはり市中病院に軍配が上がります

大学病院での研修

市中病院と比較し、下記あたりが一般的にあげられる大学病院のメリットでしょうか。

  • 入局につなげやすい
  • 研究面が優れている

ごめんなさい、あんまり思いつきませんでした笑

研究面は圧倒的に大学病院が優れているのですが(というか、大学病院の本来の目的が研究ですし)、研修自体にはほとんど影響しないのでここは省きます。

入局に関しては、自大学以外の大学病院で研修しているうちで結構な人数はこれが理由ではないでしょうか。僕も大学病院を選んだ理由がこれでした。

他大学の医局での入局を考えているなら、その医局を知るために実際に働いてみるのは大事だと思います。実際に、僕も志望科を大学病院で研修して正解でした(結局志望科が変わったので)。

大都市圏の大学病院だと、シーリングの関係で入局試験や面接などを実施していて必ずしも入局できる訳ではありません。このあたりは他大学の人気医局に入る予定の人は気をつけてください

いわゆるマイナー科は症例数的に入局をしないと専門医をとるのが難しかったりします。特に都市部のマイナー科の人気医局だと、初期研修中にある程度の期間ローテーションをしていないとそもそも入局試験や面接すら受けられないところもあります

そういった人気医局に他大学から入局を予定している人は、顔を売っておくためにも大学病院(または少なくともその大学の関連病院)で研修しておく方が無難だと思います。

上のメリットにあげませんでしたが、実際に大学病院で働いて意外だったのが教育がしっかりしていることでした

初期臨床研修病院に指定されているような市中病院にいる先生は、大学医局からの派遣の先生が多いと思います。もちろん、聖路加国際病院のような代々屋根瓦方式で教えていくスタイルができている病院もあるのですが、大多数は派遣の先生でしょう。

その中で研修医を指導する立場の先生は若めの先生が多いと思います。上についた先生が3年目とかの先生だと、そもそも自分が後期研修が始まったばかりであり、そこまで教えられる余裕がなかったりします(自分が3年目になっていきなり初期研修医に専門分野を教えられるか考えてみてください)。

また、研修医を教育するということは、仕事が増えていることになります。ただでさえ自分の勉強も必要なのに、追加で教育をしなければいけない訳です。そういった状況で丁寧に研修医を指導してくれる先生はどれぐらいいるでしょうか。

一方大学病院では、初期研修医・後期研修医・専門医(を受ける程度の年齢)のチームで動くことが多く、必ず教えられる立場の先生がいました。そして、専門医の先生は入局している後期研修医の先生にしっかり教えます(入局している仲間ですから)。その話を一緒に聞けるわけですので、初期研修医も結局教育されることになります。

なので教育がしっかりしていると感じることが多かったです。教育面は市中病院の方が優れていると思っていたので本当に意外でした。

ただ、同じ大学病院でも科が違うと上級医たちが外勤に行っているため研修医がやや放置気味になっていることもあり、大学病院の教育面をどこまで一般化できるのかは難しいですが、大学病院のマンパワーのおかげだと思うので、ある程度はそうなのかなと思います。

ただ、大学病院のデメリットとして雑務があげられますね。これはかなり感じました。2年目に大学病院で働き始め出した時に、採血スピッツを検査室に運ぶ仕事があり、びっくりしたのを覚えています。

「雑務を経験することもまた研修だ」と言われればそれまでですが、避けられるなら避けたいところでしょう。

結局どっちがおすすめ?

これはもちろん研修期間中に何を重視をしているのかによって全然違います。

が、純粋に “研修” に中心を置くのであればやはり市中病院の方がいいでしょう

理由として、教育面は大学病院が意外としっかりしていると言いましたが、どこまで一般化できるかは難しく、また、結局最後は自分次第なところがあるため、積極的にいけば市中病院でも問題なくカバーできるからです。

以下は大学病院で研修したために志望科が変更したので成り立たない仮定ですが、もし僕が “今の志望科が決まっている状態” で研修をやり直せるとしたら、間違いなく2年間市中病院にします。

自分の大学病院に入局すると決めている人や、他大学の医局に入局する予定である人がその医局の関連病院で研修するなら2年間市中病院でいいかと思います。

ただ入局予定先が人気医局であるのなら、無難にいくのなら大学病院たすきがけにしておく方がいいでしょう

病院見学に行く際はそういったことも考えてみてください。

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